案外知らない病院とクリニックの違い。効果的な使い分け方を解説

案外知らない病院とクリニックの違い

「病院とクリニックの違いは何か」と問われても、釈然としない人は多いかもしれません。

「風邪ひいた、とか、ニキビできたとか、そういう軽い病気の時がクリニックで、がん検診で再検査になったとか、手術しないといけないとか、そういう病気の時が病院?」

など、なんとなく「違ったもの」であることは認識している人でも、確信をもって「いや、こことここが違う」とは言いづらいでしょう。

今回は

  • 病院とクリニックの違い
  • 病院とクリニックの効果的な使い分け方

について解説します。

違い1.入院できる人の数

1つ目の違いは「入院できる人の数」です。簡単にまとめると

  • 病院:20人以上が入院できる
  • クリニック:入院できるのは19人以下である

ということになります。

そもそも、病院とクリニック(診療所)の違いについては、医療法という法律で明確に区別されているのです。

まず、病院は

医師又は歯科医師が、公衆又は特定多数人のため医業又は歯科医業を行う場所であつて、二十人以上の患者を入院させるための施設を有するもの

と定義されています(医療法第1条の5)。

一方、クリニック=診療所とは

医師又は歯科医師が、公衆又は特定多数人のため医業又は歯科医業を行う場所であつて、患者を入院させるための施設を有しないもの又は十九人以下の患者を入院させるための施設を有するもの

と定義されています(医療法第1条の5第2項)。

出典:医療法(昭和二十三年法律第二百五号)

なお、クリニックとは正確には「診療所を指す言葉の1つ」です。

昔から開業している開業医の場合、自らの診療所に「〇〇医院」「■■内科」などの名前を付けることもありますが、これも法的にはクリニックと同じ診療所に属すると考えましょう。

医療法に反しさえしなければ名前は自由だけど

なお、クリニック=診療所に関しては、医療法の規定に反するものでなければ、どのようにつけても構いません。

このため、「テディベア」「桃太郎」など、子どもに親しみやすい単語を使った小児科のクリニックを見かけたことがある人もいるでしょう。

ただし、大阪府大阪市のように

  • 開設者の姓を冠すること
  • 「診療所」「クリニック」「医院」「診療科目」のいずれかの単語を盛り込むこと

など、診療所の名前の付け方に関し、一定のルールを設けている地方自治体もあります。

参照:大阪市:診療所の定義等 (…>手続き・届出>医療・医薬品の手続き)

病院の中でも一定の条件を満たすものには別の名前がつく

また、病院に関しては

  • 入院できる人の数(病床数)
  • どのような治療に対応できるか

によってさらに細かくわけられます。

施設名 病床数 特記事項
地域医療支援病院200床以上救急医療を提供する能力および地域医療に関わる能力を有する
特定機能病院 400床以上 高度医療に関わる能力を有する
臨床研究中核病院 400床以上 特定臨床に関する計画を立案する能力を有する

なお、2021年12月現在、臨床研究中核病院に指定されているのは以下の病院です。

  • 国立がん研究センター中央病院
  • 東北大学病院
  • 大阪大学医学部附属病院
  • 国立がん研究センター東病院
  • 名古屋大学医学部附属病院
  • 九州大学病院
  • 東京大学医学部附属病院
  • 慶應義塾大学病院
  • 千葉大学医学部附属病院
  • 京都大学医学部附属病院
  • 岡山大学病院
  • 北海道大学病院
  • 順天堂大学医学部附属順天堂医院
  • 神戸大学医学部附属病院

出典:厚生労働省「臨床研究中核病院について」

違い2.常勤する医師・看護師の数

病院とクリニックの違いは、常勤する医師・看護師の数にも表れています。

まず、病院の場合

  • 医師:3名以上
  • 看護師:患者3名に対して1名以上
  • 薬剤師:1名以上

は最低でも常勤していなくてはいけません。

実際に何名医師・看護師・薬剤師が常勤していれば良いのかは、その病院の実情に照らし合わせて決めるので、一概に何人いれば良いとは言い切れません。

参照:厚生労働省「医療法に基づく人員配置標準について」

一方、クリニック(診療所)の場合は医師が1名でも開業することはできます。

ただし、入院設備があるクリニックの場合、看護師は「患者4名に対して1名以上」常勤することが求められます。

このあたりも、クリニックの実態に合わせて決められる仕組みです。

病院とクリニックの効果的な使い分け方

病院とクリニックの明確な違いについて説明したところで、効果的な使い分け方について解説します。

クリニックは「相談」「軽い病気・ケガ」

クリニックは病院に比べると、はるかに規模の小さい医療機関だということが分かったはずです。

そのため、細かい検査に必要な装置や看護師などの人員も揃っていないことが多く、大学病院で受けられるような高度な治療は望めません。

高度な治療を受けたいなら、病院での診察も視野に入れて動くことをおすすめします。

また、医師が1名しかいないクリニックの場合、ライバルとなる医師・看護師などのスタッフがいないため、刺激が少なくなりがちです。

自分から積極的に学会やセミナーに出たりなど、最新の知識の習得に努める熱心な医師もいますが、そうでない人もいることに注意しましょう。

一方、クリニックならではの強みもあります。それは「地域密着型」であるということです。

地域によってもこのあたりの事情は異なりますが、地方都市で開業しているクリニックの場合「前身は祖父・祖母や父母が開業した診療所」というのは珍しくありません。

長年、地域を支える医療機関として患者を長期間診てきたクリニックも多く存在します。

このような背景を考えると、「いきなり大きな病院に行くほどではないけど、ちょっと心配な症状があるから相談に乗ってもらったり、簡単な治療をしてもらいたい」という場合は、クリニックのほうがふさわしいでしょう。

クリニックの場合、患者と医師との間で信頼関係を築きやすく、親身に相談に乗ってもらえるというメリットもあります。

自分や家族の体調について相談に乗ってもらった際の記録を付けるには、アプリ「診察ノオト」が便利です。

病院は「高度な治療・検査」

一方、病院の場合はクリニックとは逆と考えましょう。

端的に言うと「高度な治療を受けたい場合」や「高度な知識・経験に基づく判断が必要となる相談をしたい場合」は病院のほうが適しています。

実際は、病院といっても病床数20床程度の小さなものから、その地域の中でもトップクラスに大きい病院(地域医療支援病院、特定機能病院、臨床研究中核病院など)があるなど、規模は千差万別です。

一概にそうとは言い切れない部分もありますが、規模が大きければ大きいほど、扱える検査や治療法の幅も広くなる傾向があります。

クリニックや小さな病院を受診してから大きな病院もあり

自分や家族が体調を崩しても、実際にどの程度までの治療が必要かは、専門知識を持った医師でないと判断はできません。

そのため「それなら、最初から大きな病院(特定機能病院や許可病床が400床以上ある地域医療支援病院)に行った方が確実では?」と思う人もいるでしょう。

しかし、これはあまりおすすめできません。

理由としては

  • 紹介状を持たないで行くと診察料とは別に料金がかかる

ことが挙げられます。

そもそも、大きな病院(特定機能病院や許可病床が400床以上ある地域医療支援病院)は、手術や入院を伴うような重症患者や救急医療に対応する役割を持っています。

それにも関わらず、クリニックや小さな病院(一般病床が200床未満の病院)でも十分に対応できる病気やケガを治療してほしいと、大きな病院にやってくる患者は少なくありません。

やってきた以上は、真摯に対応しないといけませんが、このことが原因で

  • 大きな病院の待ち時間が長くなる
  • 重症患者や救急医療への対応が後手後手になる

という問題も生じていたのです。

そこで平成27(2015)年5月に成立した医療保険制度改革法により、紹介状なしで大きな病院(特定機能病院や許可病床が400床以上ある地域医療支援病院)を受診する際は

  • 初診の場合は5,000円以上(歯科は3,000円以上)
  • 再診の場合は2,500円以上(歯科は1,500円以上)

が追加で徴収されるようになりました。実際の金額は病院が個別に決める仕組みです。

また「一般病床が200床以上で許可病床が400床未満」の病院についても、病院が決定した場合は、追加で料金がかかることがあります。

このため「果たして自分や家族の病気やケガが、クリニックや小さな病院の受診だけで治せるものか」を判断しかねた場合は、まずはクリニックや小さな病院に相談してみましょう。医師の診察を受けて、その上でさらに高度な治療や相談が必要と判断されたら、大きな病院への紹介状を書いてもらえば良いのです。

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