5年間病院の領収書を保管すべきただ1つの理由。医療費控除の基本的な流れとともに解説

理由.税務署から連絡が来ることがあるから

医療費控除を受ける場合、領収書の原本の提出義務はなくなりましたが、代わりに

  • 医療費明細書を添付する
  • 自宅で領収書の原本を5年間保存する

ことが求められるようになりました。

そして、過去に行った医療費控除の手続きに関して、税務署から必要に応じて領収書の原本の提示・提出を求められることがあります。

過去5年分まではさかのぼれる

法律上、更正の請求(確定申告が終了して申告期限(2月中旬~3月中旬)が過ぎた後、本来支払うべき税金よりも多い金額を納めたり、還付金の金額を少なく申告したりした場合に行う手続き)を行うことができる期間は5年と定められています。

つまり、確定申告から5年以内は、過去の分をさかのぼって追加で税金を払ったり、逆に払いすぎた分を戻してもらったりなどの変動が生じる可能性があります。

その際の証拠として使えるよう、領収書をはじめとした書類を保存しておくよう求められるのです。

参照:更正の請求期間の延長等について|国税庁

医療費控除の基本的な流れ

医療費控除においては領収書の保存が必須となることを理解したところで、医療費控除の基本的な流れについて解説しましょう。

基本的な流れは以下の通りです。

なお、本記事では便宜上、手書きで作成する場合を想定して説明していますが、実際は国税庁ホームページから、画面の指示に従って必要事項を入力していけば作成できます。

1.医療費控除の対象になるか確認する

病院・クリニックで支払った費用のすべてが、医療費控除の対象となるとは限りません。医療費控除の対象となるのは「治療を目的とした医療費」の部分だけです。

それ以外の費用(「予防を目的とした医療費」)は、医療費控除の対象とはならないので、注意してください。

医療費控除の対象になるもの・ならないもの

文章だけだとわかりにくいので、具体例をまとめました。

大分類なるものならないもの
入院・通院・出産入院中の食事代
通院・入院のためのタクシー代、電車賃、バス代
出産費用
妊娠診断後の定期健診、検査代
不妊治療、人工授精費用
自己都合で個別を利用した際の差額ベッド代
入院時の寝具・洗面具代
マイカーで通院した際のガソリン代、駐車場代
医師への謝礼
無痛分娩のためのセミナー受講料
歯科・眼科・耳鼻科虫歯の治療費、入れ歯代、金やセラミックを使った治療費
インプラント
医師が必要と認めた場合の歯列矯正費用
医師が必要と認めた場合のレーシック手術代
補聴器代
美容整形のための施設矯正費用
メガネ、コンタクトの購入代金(医師が必要と認めた場合は除く)
医薬品市販の風邪薬、胃腸薬、花粉症の薬、漢方薬など健康増進、病気予防のためのサプリ代
マスク代
その他国家資格を持つ施術者(柔道整復師、鍼灸師、あん摩マッサージ指圧師など)によるマッサージ、鍼などの施術代
義手・義足・松葉づえなどの購入費
人間ドッグ・健康診断の費用(異常が見つかり治療を受ける場合に限る)
寝たきりの人のおむつ代
介護保険制度で提供される一定の施設や居宅サービス費用
禁煙治療にかかる費用
診断書代
予防接種費用
通常の人間ドッグ・健康診断の費用
整体・リフレクソロジー・カイロプラクティックなど国家資格を有しない施術の費用
赤ちゃんのおむつ代

この表には出てきていない項目である場合でも、医療費控除の対象となるケースがあるので、分からない場合は最寄りの税務署に確認しましょう。

また、領収書はあるものの、その料金を払った経緯が思い出せないことだってあるはずです。

そういうときは、医療機関の診察記録をたどると思い出せることがあります。医療機関の診察記録としても使えるアプリ「診察ノオト」を活用しましょう。

2.医療費控除の明細書を作成する

手元にある医療機関の領収書を、医療費控除の対象となるものとならないものに選り分けたら、医療費控除の明細書を作成しましょう。

国税庁のホームページからダウンロードできるので、指示に従って埋めていけば大丈夫です。

なお、こちらの画像は令和2年度の様式に基づいています。

出典:医療費控除の明細書の書き方など:令和2年分 確定申告特集

「医療費のお知らせ」をはじめとした医療費通知の原本を添付する場合、医療費控除の明細書の右上にある専用欄を使用します。

出典:医療費控除の明細書の書き方など:令和2年分 確定申告特集

控除額の計算例

また、医療費の控除額を計算するためには、医療費控除の明細書の下部にある専用欄を用います。

具体的な数字例を入れて計算してみましょう。このような人を想定します。

  • 年間の医療費:20万円
  • 保険会社からの給付金:5万円
  • 1年間の所得:640万円

表の各項目を埋めていくと、以下のようになります。

A 支払った医療費200,000円
B 保険金などで補てんされる金額50,000円
C 差引金額(A – B)150,000円
D 所得金額の合計額6,400,000円
E D × 0.05320,000円
F Eと10万円のいずれか少ない方の金額100,000円
G 医療費控除額(C – F)50,000円

年収が200万円未満の場合でも医療費控除は受けられる

上の表を見て

  • E D × 0.05
  • F Eと10万円のいずれか少ない方の金額

という点に気づいた人もいるはずです。

その年の年収(正確には、所得金額の合計額)が200万円未満の場合でも、医療費控除は受けられます。

具体的な数字例を入れて計算してみましょう。このような人を想定します。

  • 年間の医療費:10万円
  • 1年間の所得:180万円

表の各項目を埋めていくと、以下のようになります。

A 支払った医療費100,000円
B 保険金などで補てんされる金額0円
C 差引金額(A – B)100,000円
D 所得金額の合計額1,800,000円
E D × 0.0590,000円
F Eと10万円のいずれか少ない方の金額100,000円
G 医療費控除額(C – F)10,000円

3.確定申告書を作成する

次に、確定申告書を作成しましょう。確定申告書には

  • 確定申告書A:主に会社員。公務員など「どこかに勤めて給料をもらっている人(給与所得者)」が使う
  • 確定申告書B:自営業、フリーランスなども含め、すべての人が使うことができる

の2種類があります。

ここでは、確定申告書Aを想定して話を進めましょう。

先ほど、医療費控除の明細書で計算した医療費控除額を、確定申告書Aに転記します。

なお「区分」の後ろには何も書かなくてかまいません。

出典:確定申告書等の様式・手引き等(令和3年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告分)|国税庁

支払った保険料の扱いは?

なお、医療費控除においては、加入している生命保険・医療保険(共済含む)から受け取った保険金があった場合「保険金などで補てんされる金額」として、差し引いて計算する必要があります。

一方、1年間に支払った保険料については、生命保険料控除という形で、所得税の計算に当たって差し引けることも覚えておきましょう。

4.確定申告書と医療費控除の明細書を税務署に提出する

確定申告書と医療費控除の明細書が完成したら、税務署に提出しましょう。税務署や特設会場に持参しても構いませんし、郵送で送っても構いません。

郵送の場合は消印有効

別途定めがない限り、所得税の確定申告の期限は例年2月16日から3月15日(当日が土日祝日の場合は休日明けの平日)です。

そして、郵便で確定申告書と医療費控除の明細書を提出する場合、自営業・フリーランスなど確定申告書Bを使う人(正確には、申告納税を行う必要がある人)は、期限に注意が必要です。

確定申告書を郵送する場合、法的な提出日は「発送された日 = 郵便局の消印が押された日」となります。

出典:税務手続に関する書類の提出時期|国税庁

確定申告書については、発信主義(差出人が差し出した時点を基準に判断する)が用いられているためです。

つまり、3月15日の消印でも大丈夫な計算になりますが、期限ぎりぎりになってしまうと精神的に焦りがちになるので、スケジュールには余裕をもって進めましょう。

5.医療費控除で戻ってくる還付金を確認する

還付金は申請してから約1ヶ月程度をめどに

  • 指定の振込口座への振り込み
  • 最寄りのゆうちょ銀行や郵便局の窓口での手続き

により受け取ることができます。

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