病院で「薬だけください」は原則NG!例外的にOKなケースも調べてみた

「薬だけください」が原則NGな理由

「普段飲んでいる薬が少なくなってきたけど、調子が悪いわけでもないし、時間がないから薬だけ欲しい」と思う人はいるかもしれません。患者が多い医療機関の場合、行くだけで何時間も食ってしまうことだって往々にしてあるので、無理もないでしょう。

しかし、本来は医師の診察を受けずに薬だけもらう = 処方箋を出してもらうことはできません。その理由として以下の2つが挙げられます。

1.制度上は医師の診察なしでの薬の処方は認められていないから

そもそも、日本の制度上は「診察を受けないで処方箋だけを出してもらうこと」が禁止されています。

医師法という法律に規定があるので見てみましょう。

無診察治療等の禁止(医師法第20条)

医師は、自ら診察しないで治療をし、若しくは診断書若しくは処方せんを交付してはならない。

この法律に照らし合わせると、電話・オンライン・対面診療のいずれも行わず、処方箋だけを出すというのは、医師法違反である可能性が極めて高いです。

そして、医師法に違反すると懲役や罰金、医師免許のはく奪な重いペナルティが科せられます。

当然、クリニック・診療所・病院などの医療機関は、医師法に則った運営を行うため、仮に患者から「診察はいらないから薬だけ」と言われても断っているはずです。


断っていない医療機関もありますが、そのような医療機関は処方箋を出す際に再診料を請求する形で調整をしているのでしょう。もちろん、実際は行っていない診察を書類上は行ったことにしているので、問題があるのは明らかです。

2.患者の状況を確認した上で適切な薬を処方するのが望ましいから

医師法で明確に「処方箋は医師の診察を経て出すもの」という前提が定められているのには、一定の合理性があります。やはり、患者の状況を確認した上で適切な薬を処方するのが、病気・ケガの治療においては望ましいのが言うまでもありません。

例えば「お腹が痛い」という症状1つとっても、様々な病気が考えられます。

  • 傷んでいたものを食べたなど、理由がはっきりわかる胃腸炎
  • がんが神経を圧迫することにより発生している腹部の痛み
  • ストレスによる過敏性腸症候群の発症
  • 子宮筋腫、卵巣嚢腫などの婦人科系の疾患
  • 尿路結石、腎盂腎炎などの泌尿器科の疾患
  • 腹部の筋肉痛

など、原因は様々であり、求められる薬や治療法も全く違います。

そのことを無視してただ「お腹が痛い」という情報だけをうのみにして処方を行っても、決して効果は出ないでしょう。

医師もそのことをわきまえている以上、患者の状況を正確に把握できない状態では適切な処方もできないのです。

「薬だけください」が例外的にOKなケースは?

もちろん、やむを得ない事情がある場合にまで、診察を経ずに処方箋を出すことが禁止されているわけではありません。

ここから先は「薬だけください」 = 患者本人が医師の診察を経ずに処方箋を出してもらうことが例外的にOKとされるケースについてみてみましょう。

家族が代理で出向くのもOK

  • うつ病などの精神疾患で、外出することが難しい
  • 投薬を受けながら仕事をしているが、平日の昼間にクリニックに出向けない

など、相応の理由がある場合は、主治医と相談した上で、家族が代理で出向いて処方箋を発行することは認められています。ただし、家族が通常通り受付をし、主治医との診察を経なくてはいけないことに注意が必要です。

なお、家族が代理で出向く際は、主治医に本人の様子をきめ細かく伝える必要があります。また、本人にも医師が診察でどんなことを話していたかを的確に伝える必要があるでしょう。

アプリ「診察ノオト」であれば、医師とのやり取りをそのまま録音できるため、本人に聞かせることも可能です。メモを取るより正確に、たくさんの情報を伝えられます。

やむを得ない事情がないけど通院したくない、滞在時間を減らしたい場合は?

もちろん、何をもってやむを得ない事情があるのかには、明確な線引きがありません。また、当初は医師が「それなら代理受診でも大丈夫です」と言ったとしても、代理で出向いた家族から状況を聞いた結果、本人に来院するよう求める場合も往々にしてあります。

このような場合、結局は医療機関に出向かざるを得ないですが

  • 待ち時間が長いと辛い
  • 新型コロナウイルスなどの感染症が怖いので院内への滞在時間を減らしたい

場合はどうすれば良いか、できる工夫を探してみました。

まずはその医療機関の方針を調べる

2020年初頭から流行している新型コロナウイルス感染症の影響により、医療機関もなるべく院内に滞在する患者数・時間を減らす方向で工夫をしています。それまでは実際に来院し、対面での医師の診察を受けることを必須にしていた医療機関であっても、一定の条件のもと柔軟な対応を行うようになりました。

参照:新型コロナウイルス感染症の感染拡大を踏まえたオンライン診療について|厚生労働省


例えば

  • 家族や介護担当者などが来院し、患者の健康状態に関するヒアリングを行った上で処方箋を出す
  • 主治医と患者が電話で話す形で診察を行い、前回に処方されている慢性疾患治療薬のみを処方する

など、できる限り来院しなくて済む方法を提案している医療機関も多々あります。

自分が通院している医療機関にこのような方針が設けられていないかどうかを確認しましょう。

オンライン診療も検討する

また、新型コロナウイルス感染症の影響によりオンライン診療を導入する医療機関も増えてきました。家から出ないで診察が受けられるため、とても便利です。

ただし「再診の患者のみを受け付ける」のか「初診・再診問わず受け付けるのか」は、医療機関によって方針が異なります。

加えて、オンライン診療を行った結果、より詳しい容体の確認が必要と判断された場合は、改めて通院を求められることにも注意が必要です。

このような背景を考えると

  • できるだけ自宅に近い場所にある医療機関を選ぶ
  • 初診の場合はできれば出向く

などの工夫も大事でしょう。

来院予約を行っている医療機関を選ぶ

大学病院クラスの大規模な病院であれば、診察は基本的に予約制であるため、定められた時間に出向けば問題ありません。

しかし、クリニック・診療所などの小規模な医療機関の場合、予約制を敷いていないことも多く、人気がある医療機関ではいつ順番が来るのかわからないまま待たされる可能性も多々あります。

これを避けるためには、公式Webページや電話で来院予約を行っている医療機関を選びましょう。

予約した時間に始まるとは限りませんが、出向けば良い時間の目安がつくため、滞在時間も減らせるはずです。

処方可能日数ぎりぎりまで処方してもらう

薬にはそれぞれ「〇日分まで処方可能」という上限があります。ある程度容態が落ち着いているなら、普段飲んでいる薬を処方可能日数の上限ぎりぎりまで処方してもらうのも1つの手段でしょう。

ただしこの場合

  • 飲み忘れ、飲みすぎに注意する
  • 次に通院する際は「大体〇日分残っている」と申告する
  • 急に体調が悪くなった場合は躊躇せずに通院する

など、工夫も必要になります。医師によっては「定期的な通院が必要だから」「適切な服薬指導ができないから」と、処方可能日数の上限ぎりぎりまでの処方を断ってくるケースもありますが、交渉してみる価値はあるはずです。

通院するタイミングを考える

医療機関によっては混んでいる日と混んでいない日のギャップが激しい場合があります。例えば「平日の午前中の待ち時間は10分程度であるものの、土曜日の午前中は1時間待ち」など、明らかに差がある場合はできるだけ空いている時間帯を狙っていくと良いでしょう。

また、複数の医師が在籍している医療機関の場合、担当する医師によっても混雑度合いは異なります。

「どうしてもこの先生が良い」という明確な理由があるならともかく、そうでもない場合は「先生は誰でも大丈夫です」と一言伝えると良いでしょう。

自宅の近隣の薬局を選ぶ

医療機関の近くの調剤薬局は、アクセスも容易なことから、どうしても混み合う傾向があります。状況次第では、医療機関より混み合っているケースもあるので、混雑を避けたい人は工夫しましょう。


1つの方法として考えられるのが、自宅の近隣の薬局を選ぶことです。そもそも、形式を守って作成されている処方箋であれば、日本全国どこの調剤薬局であっても受け付けてくれます。薬局によっては在庫がない薬もありますが、取り寄せてくれるので、あまり気にする必要はありません。

最近は、事前にアプリを経由して処方箋の画像データを提携している調剤薬局に送信し、後で処方箋を持参すれば受け取れるというサービスも普及しています。この方法であれば、自宅の近隣に戻ってきてからゆっくり薬を受け取れるのが大きなメリットです。

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